2011年11月10日木曜日

【エーゲ旅行記】思いつきでペリッサへ移動

10月23日 サントリーニ滞在11日目 

やはり俺は何もしない日は向いてないと判明。
昨日は夕方まで寝ちゃって、急に旅の士気が下がっている事に気づく。
これはまずい!何か自分の中に変化を与える事にした。

長期滞在での変化とはズバリ、移動しかない。
急に思い立ちホテルの従業員マリオに伝える。
「ちょっとペリッサに移動することにしたよ。たぶん数日内にここに戻るからまたよろしくね」
マリオは紅茶を促して来たけど、またコーヒーが出てくるだろうさ、とNo thanksと断った。

思い立った瞬間行動するのが好き。
30分後にはパッキングを済ませバスステーションへ向かっていた。
これから行く先の情報はほぼ何も持たずに。
何があるかは行ってからのお楽しみ状態にしておいた。

この頃から、見知らぬ土地でアタフタしてる自分を楽しむという高度テクニックを編み出していた。
ややアドレナリンの出す方向性がマニアックに傾いて来たが・・・・

ホテルのbookingだけは安くてwifiが通じる場所をあらかじめ検索して確保しておいた。
向かった先はペリッサというビーチが有名な村。
今は10月下旬だしシーズンオフ期間。実際に行ってみると想像以上に閑散としていた。
きっと夏なら観光客でごった返していただろう。素敵な景観だ。

さてペリッサへ向かうフィラのバスステーションでは、案内所のじいさまはちっとも役立たず。こちらの質問に面倒そうにキレながら答える。
毎度思うのだが、こやつらは仕事をする気があるのだろうか。
こちらも、こうしたギリシャスタイルは慣れている。相手にしないよう適当にあしらう。




「ペリッサに向かうバスはこのバスか?」というこちらの質問に、そのおじいは大声で半ギレしながら答える。
「そうだよ、そのバスだよ!(この野郎)」とでも言ってるような口振り。
怪訝そうに面倒臭そうに答えるわけ。

「No20のバスのことかい?」 バスは何台も並んでいるから念のため聞く。
じいさま「そうだよ!No20だよ!(他にあるかボゲぇ!)」という風だ。
こっちは初めて尋ねているのに何度も尋ねるなよ!という口振り 笑

ちといい加減すぎるなこりゃ、と発車前で付近に待機している運転手さんたちの輪を見つけたので尋ねてみる。
「運転手さんたちかい?ペリッサ行きの運転手はここにいます?」
思ったとおり完全無視される。

もう一度尋ねる。真似してこっちもキレ気味に問う。
よーし、こっちに反応した。で、わっかりにくいペリッサのMAPのバス停(地図にはバス停名が書いてない)の名前を尋ねる。

地図を指差しながら、「今日泊まるホテルがここなんだけど、一番近いこのバス停の名前を教えて欲しい」
運転手の一人「あぁ、そこはねメルメイドって言うんだよ」
そういうやり取りをしていたら、どっかの悪ガキが俺のトランクのダイヤルキーをいじっていたずらしていた。俺と目が合い、そそくさと逃げていった。
なんだかなぁ・・・・ま、無事にバス停が分かったから無駄にトランクを引きずらないで済みそうだ。

ギリシャではその日に突然バス時刻が変わったり欠便になる。
しかもバス停マップには個々のバス停名は一切書かれていない。
そして自分が降りる場所を事前に車掌にアピールしていないと中規模のバス停なら素通りしてしまう。
さらには運転手の叫ぶバス停名を聞き逃したらやっぱり降車地を見過ごしてしまう。
運転手はマイクを通さず、ただ普通に叫ぶだけ(1回のみ!)なのでバスの最前列にでも座ってないと後部からはちっとも聞こえない。

 バス時刻表


さて、無事にバスは発車し途中アクロティリという古代遺跡の地点を経由、レッドビーチという有名ビーチを経て、ペリッサ方面に差し掛かった。

運転手が叫び出す。「メルメーイド!!!!」
「はいはいはい、おりまーす!」
サントリーニも世界的観光地なのだから、統一したバス停名の書いたMAPという物を作ってはどうだろうか?
毎度観光客は同じように困り、愛想の悪い案内所の爺さんに尋ね、そして爺さんは半キレするという循環なのだから 笑
そして誰もそうした改善点に気づかないのも、これまたギリシャスタイル。永遠に変わることなど無いのだろう。
文句を言う客は数日で島を去り、また新たな客がやって来る。毎年このサイクルなのだから。



メルメイドで降り立った風景
車もあまり行き交っていない。


メルメイドで降りた俺はすぐに途方に暮れた。
何せ手元の地図は簡略的すぎてちっとも役立たずだ。
毎度のように野生の勘を発揮し適当に歩き出す。
そして毎度迷う。で決まってトイレに行きたい衝動に襲われる。
俺は俺でこの定番サイクルを守っていた。

今日のホテルはどこだろう・・・
10分ほど重いトランクを引きずった後、元の位置に戻ってきた。
そうしたら少し離れた場所から、「ケニーさん??」「ケニーさんですよねー?」
あれ、日本語だ。異国の地で一瞬耳を疑う。しかも俺の名前を呼んでいる。


「はい、そうですが?」
ホテルの運営者の奥様だった。日本人さん。
聞けば4~5年前にサントリーニに移住し、現地の旦那さんと結婚、今のホテルを経営し始めたという。
今日の部屋の案内を受けながら、いろいろと現地での生活を聞けた。
このワンダーランドのような島での永住は楽しいことばかりではないらしい。
日々の生活は、しがらみもなく平和で奥様は若々しさを保ちながら第二の人生を謳歌されてる。

国の課す様々な税金は膨らむ一方だったり、ニュースを賑わすギリシャ危機をまともにくらっているお話を細かく聞かせてくれた。
そうかぁ、何でもそうだけど夢みたいな話は無いんだな、永住もしんどい事がつきまとうんだろうな。

でもこの奥様、すごくポジティブで楽しい方だった。
目がイキイキしてるんだ。躍動感ある人生を送られているのが話の節々から感じ取れた。
俺はハツラツとしてる人が好き。人間臭い人が好き。
この奥様がまさに、そういうタイプの人だった。話していて俺にエネルギーをくれた。

ご主人はあんまり動かないクマさんみたいな温厚なおじいさん。
日本通で片言ではあったけど良く日本語で話しかけてくれた。
すごくのんびりとして家庭的なホテルだと感じた。

特にいいなぁって思ったのはお客さん同士が触れあう公共のラウンジがあったこと。


毎年ここで出会うグループ同士が仲良しになり、その後も何年もこのホテルで落ち合うんですよーとか
ここで出会ったグループが他の国へ一緒に旅行に行くようになった、とか
心が暖まるようなお話を聞けた。うらやましいな。この日はシーズンオフでお客さんはまばらだった。


それから部屋でお馴染みのwifiチェックを済ませ、




ギリシャのコンセント形状 Cタイプ


変換コネクタと変圧器








裏にどーーん!とそびえる山へ向かう。
この山のてっぺんには古代ティラ遺跡があり、45分で登頂出来るという。
これは向かわない手はない!しかも明日は休館だそうだ。
時計を見ると1時半すぎ。閉館は2時半なので1時間ある。
ちょっと時間に追われる登山だったがとにかく行くには今日しかない。
簡単な道案内をホテルの奥様から聞き、目印のパン屋さんをめがけ、次の小さな教会を過ぎ、





そこで恒例的に完全に迷った。

行ったり来たりしていたら2時になっていた。こりゃもう間に合うわけが無い。
引き返して、これまた恒例のスーパーマーケットとファストフード店探しに切り替えた。
その後に、この地のメインであるペリッサビーチへ向かった。
さすがシーズンオフ。夏なら人人人でごった返すのだろうけど、今時期は浜辺に行っても人はまばら。
とは言っても有名観光地。雰囲気はたっぷりあった。ここぞとばかり写真を撮る。
西洋のビーチはそういう雰囲気がたっぷり。











お店はほぼ全て今シーズン閉店済み
人はほとんど歩いていない。


日本では海の家、という物の代わりにこちらはギリシャの屋外タベルナが並んでいる。
どこも定番メニュー。スブラキ、チキンギロピタ等々。もう食べ飽きた物ばかりが並ぶ。
この頃から、他に無いんかいっ!!とツッコみたくなる品ぞろえ。
食べる前から味が分かるのはグルメじゃない俺でも結構しんどくなって来た頃だ。

一通りビーチの雰囲気を味わってから、とっくにシャッターが降りて今年の店じまいをしているレストランなどのエリアを過ぎ、
わざと路地裏を通るようにしてさっきチェックしてたギロピタ屋へ向かった。











路地裏はメイン道路から見えない新鮮な発見があるから大好き。
そのギロピタ屋は店主兼調理師さんが、暇そうに外でたばこを吹かしていた。
アイコンタクトで、「注文いい?」と視線を送ると、同じくアイコンタクトで「がってん」と返してくれた。



注文した物は至ってシンプル。
ポークギロピタとグリークサラダ、フレンチフライ。
何と、出来上がるまで30分もかかった。何というギリシャタイム!
繁忙期ではどうやって対処するというのだろうか 笑
ちなみに客は俺一人だった。

その代わり、当てもなくボーーーッと待つというのも現代では貴重かもしれない。
そうしたスローな時間を待ち時間を利用して楽しんでいた。
目の前の道路を行き交うスクーターはたまにしか来ない。
ぼけ~っと道路脇の景色を眺めていた。

驚くべき事に、30分掛けて作られたこの料理はめちゃめちゃ美味しくてびっくりした。




ギロピタなんてどこで食べても一緒でしょ?というのは大きな間違い。
店ごとに味が違うんだ。この店の味は香ばしくサクサクしてて脂っこくなくて大満足した。




次に寄ったスーパーマーケットはシエスタタイムで夜間営業17時~が始まるまでお昼閉店していた。
その時間帯に店主は本当にお昼寝をしているのでしょうか。
19時に再度訪れた際、レジにいたおばあちゃんは9割動作が止まってるかのような動きで、
しかもレジに立ちながら裁縫をしていた。

買うべく商品をレジ前に置いたのに、金額を打ち込むまで2~3分ほど裁縫をしているのがおもしろい。
俺がおばあちゃんの脳内に認識されるまで数分掛かったのかもしれない。
ギリシャタイムは本当にずっこけるほど面白い。
お勘定が済んでサンキューと言って店を出た。店を出きった頃にサンキューとおばあちゃんの声が聞こえたよ。

日が落ちて外が真っ暗になった頃、テラスに出てプールを眺めていた。


視線を感じたのでそちらを見ると隣の部屋に泊まっているオーストラリア人女性がこちらを見ていた。
こんばんは~と声を掛け合い、少し談笑した。
彼女はあっちこっちの国を駆けめぐって今ここにいた。
明日はイタリアへ向かうので早く寝ないといけないという。
それにしても一人旅する人ってすごいアクティブだなあ、って感心した。
一人旅ビギナーの俺は、そうしたベテランさんから何かを吸収しようと会話の行間を探りながらお話してた。

ところで鶏って朝にコケコッコーと鳴くんだと思ってたけど夜でも鳴くんだね。
近くに鶏小屋やら馬小屋やらがあって、動物の鳴き声が目の前のそびえる山に反射して雰囲気ある環境音を楽しめた。
心からのどかな土地だなぁ~と。



今は田舎のばあちゃん家でさえ付近にコンビニや高速道路が走っちゃって昔のようにカエルやクワガタ捕りももう難しいよ。
ただ、のどか過ぎてこれまた、、刺激に飢えてる俺は明日はまた移動しようと思った。

泊まったホテルはすごく居心地が良く、オーナー夫妻との会話もとても名残惜しかったのだが、ここにずっといたら、スローリーなおばあちゃんのようになってしまう、、って。
ちょっと後ろ髪引かれながらの決定だった。





フィラに戻ろうか、はたまたピルゴスという村に移動しようか、ま、明日のテンションで決めようと眠りについた。

翌日、大雨&強風になるとは知る由もなく。



つづく



ペリッサで撮影した写真はこちら。