2011年11月6日日曜日

【エーゲ旅行記】イメロビグリへ移動

10月16日 サントリーニに来てから4日目。

今日は存分に楽しんだイアのスクウェアの真ん前ホテルからの移動日。




オーナーのヤニスさん夫妻に手紙を書いて渡した。
彼らは非常に喜んでくれ代わりにこのホテルが写ったポストカードを3枚くれた。
昨日渡したセカンドライフで創作したこのホテルのFlickr写真を、
これから世界中からやってくる観光客に見せるからねーーと嬉しいお言葉を貰う。
俺の創作の写真がオーナー夫妻の自宅の冷蔵庫にペタっとこれからも貼られ続けられると思えば、何だか興奮してしまった!

隣のオーナー宅


堅い握手を交わし、「じゃあまた来年サントリーニにやって来いよ!」と言うシーンで、
なぜか俺のベルトのバックルが吹っ飛ぶ。おまけに財布やらデジカメやらポケットに入ってるからズボンがずり下がる。
何だか訳の分からない展開だけど、オーナーは爆笑していた。変なジャパニーズめ、と言った所であろう。
お断りしておきますが、太っているからじゃなく逆ね。ベルトの穴が毎日絞られてゆくのでギュッと閉めすぎてたせいだと思う。

中国製め、と悪態ついたらオーナーのヤニスさんはペンチで直してくれ、「買った時より頑丈にしてやったよ、チップ貰わないとだめだなー」てずっと笑いっぱなしで直してくれた。恐らく彼の記憶の中にずっと俺は残るんじゃないかな、って思った。
花火の件でマジギレしてたヤニスさん。最後は無邪気な子供のような笑顔をしていた。

うっかり聞き忘れていた事をヤニスさんに尋ねてみる。
「そういえば、これらのカラフルな建物のペンキはどうやって塗っているの?」
「ペンキの材質は?」
若い頃、塗装・防水工だった俺は突っ込んだ質問をあれこれしてみた。

ヤニスさんは丁寧に答えてくれた。白いペンキは水溶性。風雨で容易にはげないようにとのことだ。
こちらの建造素材の石は火山灰性質のため目に見えない気泡がいっぱいあるから水溶性が適している。
一方Vividな配色は2液混合のケミカル塗料を使うので塗るのが大変なんだ、と話してくれた。お馴染みのヤレヤレ、というジェスチャーとともに。
触ってみたら下地からプクプク浮いている箇所があった。納得!プライマー塗ってないなぁ?とも気づいた。
全て一人で半年ごとに塗っているというからそりゃ大変だわ。
ずっと塗料については聞きたかった事だったので、4年越しの夢が叶ったといったところ。
俺は左官も塗装も出来るからいつの日か廃墟の家屋をぴっかぴかカラフルに修繕させてもらいたい。究極のDIYだね 笑

それからヤニスさんと再度お別れをし、トランクを引きずるには酷な石畳を進み、イアのバス停まで移動した。15分ほどでバスがやって来た。



イアのバスターミナル付近の風景
フィラと違ってとても質素な感じ。





 時刻表が貼ってある



事前に日本人ガイドさんから聞いてたのは、サントリーニのバスは乗る時に「○○で降りますーー」て伝えておかないと素通りしちゃう可能性があるとのこと。
バスには運転手の他に車掌がいて、俺は車掌のおじいさんにイメロビグリで降りたいと伝える。

バスが発進し車内で乗車賃1.6ユーロを手渡す。
10分ほどしたら途中でバスが停止し、対向車線からやって来た下りのバスもが同様に停止した。
そうしたら、さっきイメロビグリで降りると伝えていた車掌が、下りバスに乗り換えてしまったではないか!
おいおい大丈夫か、イメロビグリでちゃんと止まってくれるんかいな?と思ってたらバスの運転手が叫びだした。
「イメッロビグリーーーー!」 着いたぞというサインだ。

バスから降りるとそこは何とも田舎くさい村だった。大丈夫か、おい!と独り言を言う。それくらい何も無さそうな村。






イアと違って人は歩いていない。スーパーマーケットも見あたらず、レンタカー屋は開いてるんだか閉まってるのだか分からない。
外は今にもまた雨が降ってきそうにどんよりしているから、急いで見つけないとまたずぶ濡れになるぞと気持ちが焦る。
辺りの案内看板を探してみると、あれこれ各ホテルへの行き先が書かれた看板があった。



よく見ても今日泊まるホテルが書いてない。書いておけよぉと悪態を付く。
仕方ないそれっぽい道を進んで近くの半分死にかけた商店で尋ねようと入ってみる。
誰もいない。そしたら外の駐車場からタバコを吹かした偉そうな女が車から出て歩いてくる。
「どしたの?」
「すいません、このホテルはどこにあるか分かりますか?」
「あぁ、ならこの道を上がって、すぐさま降りて左よ」
ありがとう、と伝えその通り進んでみる。

この村はサントリーニで一番標高が高いそうだ。イメロビグリの、”ビグリ”は見渡すという意味があるらしい。
昔から海賊がやってくるのを監視していた場所らしい。そういう意図の要塞もあるようだし。
だからなにげに普通の階段も勾配がきつい。トランクを持ち上げながらの移動はかなり息が上がった。
そして言われた通り進んでもそれらしき案内板も無ければ、その先で尋ねる相手もいない。
同じ用なツアリストに尋ねるもやはり知っている訳がない。3人に尋ねて無駄だった。


白の楽園に置いてた看板実物と偶然に遭遇。ちょっと和む。
「ここにあったんかい!」的



そうこうしながら見知らぬへんぴな街を、風でブルブル震わされながら1時間半ほどさまよう。


それでなくともガタボコの石畳の上でトランクを引っ張り続けるのは手首がきつい。
段々と見つけられないイライラが募ってくる。
通行人が誰もいなく、たまに見つけた人に声をかけても英語の話せないギリシャ人ばかりで会話拒否をされ続け、おまけに電話ボックスもどこにもない。


やっと見つけた電話ボックスもクレジットカードを使うタイプの物で、何度試してもエラーで掛けることすら出来ない。
またか。。。あのアブダビの記憶がよぎる。今回はサバイバルって言うほどキツくは無いけど、これから大雨が来るって分かっているだけに段々イライラが増していた。
何で分かりやすい看板を置かないんだよ!!と思っていたら、ふとひらめく。
そか、iPhoneで掛ければいいじゃん。ずっとiPhoneを単なる目覚ましタイマーとしか使ってこなかったので灯台元暗しだった。

国際電話扱いになって料金高くつくけど背に腹は代えられない。早く暖かい室内へ行きたかったからだ。この日はとにかく寒かった。
ホテルの電話番号をプッシュすると、聞き慣れないギリシャ音楽が流れてきた。
いけね、違うとこかけちまった、とすぐ切る。

もう一度掛けると今度は、訳の分からないギリシャ語のトーク番組みたいな音声が流れている。
ここでピンと来る。そか、これは保留音の一緒なのか。
しばしギリシャ語のガイダンスを待っていると、やっとホテルに繋がった。

「今日宿泊するケニーですが、今イメロビグリのバス停にいます。もう散々迷った。迎えに来てもらえませんか?」
「OKOK 今すぐに迎えに行くよ」
ホッとした。間もなく来るというからバス停の中で待っていよう。


ここは風も遮られて少し暖かい。10分ほど待ってるとシンガポールのカップルさんがやって来た。
「イア行きのバス時刻を知ってますか?」と尋ねられた。
そうだ、さっき時刻表をデジカメで撮っていたんだ、と思いだし彼らに見せてあげると喜んでもらった。

世間話をしながらホテルマンの来るのを待っていると、ちょうどいいタイミングで車が目の前に乗り付けて来た。
ドライバーはまっすぐ俺の目を見てきた。たどたどしい英語で話すおじさんドライバー。
「ホテール?」と言うから、「あぁ、ケニーです。○○ホテルの人ですか?」と聞き返す。
「あぁ、○○ホテル、イエス。」と答えるおじさん。
トランクをパカーンと開けてくれるので積もうとすると、そのおじさん、「歩いて行け」という。

あっけにとられ、「は?迎えに来てくれたんでしょ?歩いて行けってどうやって行けばいいんだよ。地図ぐらい書いてよ」
「No No あの道まっすぐ行け。」とそそくさと立ち去ろうとする運転手。

理由を聞けば車では乗り込んでいけないと言う。じゃあ何でおまえは車で来たんだよ!!!
キレた。確実にキレた。早口でめちゃくちゃ文句を言う俺。
おじさんはヤレヤレって顔で車に乗り込もうとする。
それを制止して無理矢理地図を書いてもらい、後でフロントに猛烈に抗議してやると決めた。
あろう事か、シンガポールカップルにも「乗るか?」と尋ねている。
はぁぁぁ????この野郎。と思った瞬間、その車にTAXIと書かれていることに気づく。

やれやれ。このじいさん。ナイスタイミングで来やがって。。。
そんで中途半端に会話の出だしがかみ合っちゃったから、なお誤解呼んだじゃん。
全て経緯が納得出来た。このドライバーはバス停で待っている人に、飛び込み営業をしていただけだったのだ。
バス停で待ってたらバスに乗るに決まってるだろうに・・・。

その後、ドライバーの書いた地図は当てにならないかもしれないからもう一度ホテルに電話した。
しかしすぐ行くと言って40分も待たせるかね、、、先が思いやられる。

また例のヘンテコ保留音が流れる。
「待たせてごめんごめん、1分でいくよ!」だってさ。
その間、シンガポールのカップルさんはご親切に結構離れた店までホテルの位置を尋ねに行ってくれていた。
戻ったカップルさんと談笑しながら、話が盛り上がった矢先にホテルマンがすぐにやって来た。

なんだかなーーもーーー。もっとお話したかったのに~と彼らとさよならした。

今日も何かドタバタなのかな、とベルトのバックル破損から始まった一日を思い出した。
手首がバカになるくらいトランクを引きずった後だったので、バス停からホテルまで代わりに引きずってくれたホテルマンが有り難かった。

ホテルは結局本当にわかりにくい場所で、絶対に自力では不可能と思った。笑っちゃうくらい分かりにくい。
それまでの経緯はともかく、ホテルに着いてびっくりした。

イアの景観とひと味違う絶景が目の前にあり、ホテルも見事に美しい。
迷惑かけたからと、本来泊まる部屋よりグレードの高い部屋に変えてくれた。
この部屋が何ともすごい。自室のテラスから絶景独り占めが出来る。
50ユーロで泊まる訳だけど、ハイシーズンだと300ユーロと書いてある。
んー夏場には絶対に来れないグレード。



ホテル共用テラスからの眺め



 
 自室からの眺め


絶壁斜面に位置しているのが分かる





部屋は結構広かった




テンションが一気にマックスになるも、外は寒風と雨。
今日は外出すると一発風邪引くな、と素ごもりの予感・・・
ひとまず荷物を開いて、wifiチェック。良し!今日はネットも快適だぞーと顔がにやける。
あれこれやってるうちにあっという間に眠くなり、結局この晩は恐ろしく早く寝てしまった。
観光地で8時前に寝るっていったい・・・・それくらい今日はお疲れのケニーだったのでした。
寝る直前に聞いたでっかいフェリーの汽笛、すごく味があったよ!
そして一匹の猫が部屋に出入りするくらい仲良しになったとさ~。



つづく


イメロビグリで撮影した全ての写真はこちら